最近、ピッチャー向けの練習で注目を浴びているのが、ジャベリックスロー、いわゆるやり投げの練習です。
オリックスバファローズの、山本由伸投手が練習でやり投げを取り入れていることでも有名な主にピッチャーの練習方法ですが、その効果はスピードアップの他にも、肩肘のケガの予防にもつながると言われています。
今回は、ジャベリックスローの練習を取り入れることで得られる効果と、球速をアップさせるための練習方法について解説します。
やり投げと野球の投法の違い
ジャベリックスロー、いわゆるやり投げと野球のボールでは、槍とボールで形の違いはありますが、投げるという動作においては多くの共通点があります。
しかし、やり投げは野球の違いとして、槍はボールよりも重いため、より大きな筋肉を使わなければ、遠くに投げることができない上、肩や肘のケガにも繋がってしまいます。
野球でも、肘や肩の関節を支点にするのではなく、股関節や胸郭を支点にし、周りのより大きな筋肉を使うことで、球速アップや肩肘のケガを防止する効果が期待できます。
詳しくは、下記のページもご覧ください。
軸足の使い方
股関節や胸郭を使って投げるためには、ジャベリックスローを使った練習がオススメです。
ジャベリックスローで槍を投げる時は、軸足に体重を乗せる時に、ひざの向きとつま先の向きを合わせるようにしましょう。
この形がいわゆるパワーポジションになりますが、大切なのは、軸足のひざやつま先が内側に入らないように意識することです。
軸足のひざやつま先が、すぐに内側に入ってしまうと、開きが早くなる原因となるので注意しましょう。
次に、ステップを踏み出していきますが、ステップ足が地面につく直前のタイミングまで、軸足のひざとつま先は、内側に入ったり、前を向かないようにします。
そして、ステップ足が地面につく直前でひざやつま先を内側に入れ、股関節を回転させましょう。
ステップ足着地後のMER
さらに、回転しながら投げる動作へと移っていきますが、肩関節が最大に凱旋するポジションをMERと呼びます。
この時、すでにステップ足、軸足のひざ、そして槍の先は投げる方向に向かっていますが、ステップ足は、着地した後、ひざがくるぶしより前に出ないようにしましょう。
これは、ひざがくるぶしより前に出てしまうと、地面から返ってくる力を十分に使えなくなってしまうからです。
また、槍の先を投げる方向に向けることで、野球ボールを投げる時と同様に、小指から先に腕が振られていくようになります。
そして、胸や肩関節が反れた状態になりますが、胸や肩関節をしならせるようという意識はしないようにしましょう。
股関節、胸郭が柔軟に動き、体重移動が適切にできていれば、体が自然としなるような状態になります。
無理に体をしならせようとすると、腕が遅れてしまうので注意しましょう。
リリースとフォロースルー
リリース時には、肩甲骨のラインから直線、もしくは少し前でリリースするようにしましょう。
肩甲骨のラインよりも後ろでリリースしてしまうと、腕が遅れた状態になってしまい、肩やひじに余計なストレスがかかるため、ケガの原因となってしまうので注意しましょう。
また、リリースの時には、ステップ足にしっかりと体重を乗せ、踏ん張るようにします。
リリースした後の軸足は、ステップ足の踏ん張りによって回旋して上がってきますが、この動きに関しては、ステップ足の踏ん張りによって自然となる動作のため、フォロースルーの時にはあまり意識しないようにしましょう。
これらのポイントができるようになってくると、胸郭や股関節を支点にして投げる動作を覚えることができます。
ジャベリックスローの練習を取り入れながら、体の動きを覚えましょう。
以上、今回は、球速をアップさせるためのジャベリックスローを使った練習方法について解説しました。
詳しくは下記の動画で説明していますのでご覧ください。
引用:https://www.youtube.com/watch?v=VWHHp6iN8MI
野球肘・野球肩などを投球動作から根本的に治す治療家。
京都市・もり鍼灸整骨院の院長の他、野球教室などでも投球動作の指導を行う。
樟南高校で甲子園出場ベスト8進出・鹿児島県沖永良部島出身。