イップスの原因と克服・改善するための練習方法

野球プレーヤーにとって、イップスは、もっとも避けたい症状のひとつです。

イップスの原因は、精神面を発端としたものや、怪我、故障などによって体の使い方やバランス感覚がわからなくなったなど、原因は様々ですが、一度イップスを発症してしまうと、狙ったところに思うようなボールを投げることができなくなってしまいます。

イップスは、アマチュア選手だからなるのではなく、プロ野球選手でも発症し悩まされることがあります。

つまり、必ずしも投げ方の技術面や体力面が未熟だから発症する訳ではありません。

本人も、今まで普通に投げることができていたにも関わらず、突然投げられなくなり、原因もわからない上、簡単に治らないところが、イップスの怖いところです。

今回は、野球選手がなりたくないイップスになる原因からイップスを克服、改善するための練習方法を解説します。

イップスとは

イップスとは、ある程度、離れた距離では、問題なく投げることができるが、近くの距離になると、腕を思い切り振って投げることができず、ワンバウンドしてしまったり、全く思うところにコントロールできなくなってしまう症状です。

イップスでは、ボールが思うように投げられなくなってしまうため、送球エラーが頻発してしまい、精神的なプレッシャーが重なると、さらに悪化してしまいます。

これは、精神的なプレッシャーから、神経や筋肉など動作のバランスが取れなくなってしまうためです。

そして、イップスになるきっかけは様々で、これをやれば確実にイップスが治るという方法はないと言われています。

イップスを発症する2つの原因

イップスには、大きく2つの原因が考えられます。

それは、メンタル(精神面)の問題を発端としたイップスと、技術的な問題を発端としたイップスです。

メンタルからイップスを発症するケースとしては、例えば、先輩とのキャッチボールでコントロールに過度に気を使ってしまうケースなどがあります。

「暴投してはいけない」「絶対にピンポイントで投げなければいけない」など、投球動作の際に、過度にコントロールの意識を持ってしまうと、本来の投球動作ができなくなり、さらにそれを繰り返してしまうことでイップスが悪化してしまいます。

このような精神面から発症するイップスを防ぐためには、キャッチボールの相手が過度にプレッシャーをかけないようにしなければいけません。

イップスを防止する方法
  • 暴投や悪送球に対し、過剰に怒ったり不機嫌な態度を見せない
  • コントロールが悪い選手にバッティングピッチャーをさせない
  • 細かい投げ方を指導しない

また、技術的な問題から、イップスを発症するケースとしては、ケガや痛みを庇ったり、ボールのスピードやコントロールを腕だけでコントロールしようとする場合などに、イップスを発症するケースがあります。

そして、最悪の場合、精神的な不安から、投げ方がわからなくなり、また精神的な不安が増してしまうといった、メンタルと技術的な問題が繰り返され、さらにイップスが悪化してしまうといった悪循環に陥ってしまいます。

イップスを克服するために必要な2軸性の考え方

イップスを克服するためには、技術的な問題を改善する他に方法がありません。

なぜなら、例え精神的な問題が解決されたとしても、技術的な問題が残ったままではイップスを克服することができないからです。

そして、イップスの選手に見られるのが、1軸性の体の使い方で投げてしまっている、もしくは、2軸性でもうまく体を使えていないという2つのパターンです。

1軸性の体の使い方とは、フィギュアスケートの回転技に見られるような体の使い方です。

野球における投球動作など、体の回転を他のエネルギーに変えるためには、2軸性で体をうまく使えているかがとても大切なポイントになります。

投球動作での2軸性の使い方とは?

2軸性のそれぞれの軸は、左右の肩から股関節に通っています。

そして、投球動作においては、まず軸足に体重を乗せた時、右投げの場合、右肩から右股関節にかけて軸を作ります。

そこから、足をステップして踏み出した時に、左肩から左股関節にかけてのブレーキの役目を果たす軸を作ります。

投球動作では、この左右2つの軸を作り、その中で体重移動から回転運動につなげることで、ボールに力を伝えることができます。

しかし、イップスを発症した選手で、1軸性の使い方で投げてしまっている場合、1つの軸で回っているだけの状態になっているため、ブレーキの役目を果たす軸がなく、力を伝えるための支点ができない状態になっています。

また、2軸の投げ方をしていても、うまく2軸の間で体重移動ができず、上半身と下半身が連動しなければ、力を伝えるべきリリースポイントが定まらないため、イップスの原因となってしまいます。

プロ野球選手でもなる!イップスを克服するための練習方法

2020.01.23

イップスを克服・改善する練習メニュー

2軸性の体の使い方をマスターできる、3つの練習方法を紹介します。

それぞれの軸を作り、上半身と下半身を連動させることでイップスの克服・改善に近づくことができます。

片足スナップスロー(踏み出し足)

踏み出し足の片足スナップスローでは、踏み出し足1本で立ち、右投げの場合、左の肩から左の股関節にかけての軸を作った状態のままボールを投げます。

この時に、逆の足をついたり、フラフラして軸のバランスを崩すことがないように注意しましょう。

片足スナップスロー(軸足)

次は、軸足の片足スナップスローです。

軸足でのスナップスローも同様に軸足1本で立ち、右投げの場合、右の肩から右の股関節にかけての軸を作った状態のままボールを投げます。

こちらも、逆の足をついたり、フラフラして軸のバランスを崩すことがないように注意しましょう。

両足スナップスロー

両足のスナップスローでは、両足で立ち、正面にステップを入れ、軸足から踏み出し足に体重移動をして投げます。

あまり大きな動作でなくても良いので、2軸で投げれるよう練習してみましょう。

以上、今回はイップスになる原因と克服・改善するための練習方法を紹介しました。

詳しくは、動画をご覧ください。

引用:https://www.youtube.com/watch?v=VuShV_imEmw

森 洋人 もり鍼灸整骨院

Youtuber

野球肘・野球肩などを投球動作から根本的に治す治療家。
京都市・もり鍼灸整骨院の院長の他、野球教室などでも投球動作の指導を行う。
樟南高校で甲子園出場ベスト8進出・鹿児島県沖永良部島出身。